競輪の出走表を見ると、選手名の横に「逃」「追」「両」という記号が書いてあることに気づきます。これが「脚質」の表示です。
競輪はチームスポーツ(ライン戦)の側面を持つため、選手がレース中にどういう役割を担うかで脚質が決まります。先頭で走って逃げ切りを狙う「先行(逃)」、後方から末脚を使って差す「追込(追)」、どちらもこなせる「両(自在)」の3種類です。
この脚質を理解することで、「この選手はどこを走るのか」「どんな展開になりやすいのか」が読めるようになります。予想の精度を上げる上で、車券の種類の次に最優先で覚えるべき知識です。
競輪の脚質3種類の基本
競輪のレースはライン(複数選手の一時的チーム)が単位となって展開します。ラインの中で「誰が先頭で前に出るか」「誰が後ろから差すか」という役割分担が脚質です。
| 脚質 | 表記 | 基本的な役割 |
|---|---|---|
| 先行 | 逃 | ラインの先頭で前に出てそのまま逃げ切りを狙う |
| 追込 | 追 | 番手〜後方に位置し、直線でスピードを出して差す |
| 両(自在) | 両 | 状況次第で先行も追込もこなせる万能型 |
この3つを理解しておくだけで、レースの展開イメージが格段に描きやすくなります。
先行(逃)の特徴

先行型の選手は、スタートから積極的に前へ出て、ラインの先頭でレースを引っ張ります。最終周に入る前に先頭に立ち、後続を引き離してそのままゴールを目指す「逃げ切り」が理想の展開です。
先行の強み
- 逃げ切れれば最大配当:先行選手が1着で逃げ切ると、オッズが高い場合が多く、高配当が生まれやすい
- レースを主導できる:先行選手がペースを決めるため、他の選手は動きを合わせなければならない
先行の弱み
- 消耗が激しい:先頭で風を受けながら全力で走り続けるため、直線で脚が残りにくい
- 長い直線では不利:みなし直線(最終コーナーを抜けてからゴールまでの仮想直線距離)が長いバンク(いわき平・大宮など)では、最終コーナーを過ぎた後の直線で追込選手に捕まりやすい
先行型の見分け方
出走表の「H回数」が多い選手が先行型です。Hはホーム(ホームストレート)の略で、最終周の正面直線を先頭で通過した回数。多いほど積極的に前に出る先行タイプです。
追込(追)の特徴
追込型の選手は、先行選手の後方(番手〈先頭選手の直後に位置する2番手のポジション〉や3番手)に位置して体力を温存し、最終コーナー前後から一気にスピードを上げて前の選手を追い抜きます。
追込には2種類の決まり方があります。
- 差し:最終コーナーを抜けた後の直線で、先頭選手を外側から追い抜く
- 捲り:最終コーナーに入る前に外から一気に加速して前の選手を飲み込む
追込の強み
- 体力を温存できる:先頭選手が風を受ける分、後方の選手は60〜70%の体力を温存できると言われている
- 直線が長いバンクで有利:みなし直線が長ければ長いほど、末脚を活かす距離が生まれる
追込の弱み
- 先行選手の動きに依存する:自分でレースをコントロールできず、前の選手の走り方に左右される
- 前が詰まると抜け出せない:複数のラインが固まってしまうと内から外に出るスペースがなくなる
追込型の見分け方
B回数が多い選手が「捲り型」の追込です。Bはバックストレート(裏の直線)の略で、最終周の裏直線を先頭で通過した回数。B回数が少なく、H回数もほぼない選手は「差し型」の追込です。
両(自在型)の特徴
「両」の選手は、そのときの展開や相手の出方によって先行も追込も選択できます。経験豊富な実力上位の選手に多く見られます。
両の特徴
- 展開対応力が高い:相手が引いてくれるなら先行で逃げ、強い先行がいれば番手から差す、という選択ができる
- 予想が難しい:どちらの動きをするかレース前に分かりにくいため、買い目が絞りにくい
H回数・B回数ともに一定数ある選手が両の目印です。また、S回数(スタート直後に誘導員〈レース開始時に選手を先導するペーサー。一定距離を走った後コースから離脱する〉の直後の好位を取った回数)が多い選手は位置取りを積極的に狙う展開型で、「両」に分類されることが多いです。
「両」は予想が難しいですが、初心者のうちは直近のH・B回数の比率で傾向を読むのが現実的です。H多め→先行寄り、B多め→追込寄りと判断できます。まずは先行か追込かはっきりしている選手を軸に置いて慣れてきたら「両」の選手を加える——これが予想の入門として最もシンプルなステップです。
H・B・S回数の読み方|WINTICKETで脚質を数字で確認する

脚質は出走表の「逃」「追」「両」の表記だけでなく、H・B・S回数という数字でも判断できます。数字を見ると、「この選手は逃げ型だけど最近は番手に引くことが多い」「捲りが得意だが差しも混ざっている」という細かい傾向が分かります。
| 数値 | 意味 | 脚質との関係 |
|---|---|---|
| H回数 | 最終周のホームストレートを先頭で通過した回数 | 多い → 先行型 |
| B回数 | 最終周のバックストレートを先頭で通過した回数 | 多い → 捲り型 |
| S回数 | スタート直後に誘導員の直後(好位)を取った回数 | 多い → 展開型・両 |
WINTICKETでの確認手順
- 出走表でレースを開く
- 確認したい選手の名前をタップ
- 選手詳細ページの「成績」タブを選択
- 直近のH回数・B回数・S回数を確認する
H回数が多ければ先行型、B回数が多ければ捲り型と判断できます。同じ「追込」表記でも、B回数が多い選手と少ない選手では予想時の動かし方が変わります。
バンクによって変わる脚質の有利・不利
脚質が分かってきたとき、次に気になるのが「今日のレース会場では何が有利なのか」という疑問です。脚質とバンクの組み合わせを覚えてから、予想の精度がぐっと変わりました。
同じ脚質でも、競輪場のバンク(コース)の特性によって有利・不利が大きく変わります。
| バンクサイズ | 先行 | 捲り | 差し |
|---|---|---|---|
| 333m(川崎・伊東など) | 有利 | やや不利 | やや不利 |
| 400m(標準・久留米など) | 普通 | 普通 | やや有利 |
| 500m(大宮・前橋など) | 不利 | 有利 | 最有利 |
なぜバンクサイズで変わるのか
333mバンクはコーナーが急で小回りです。先行選手が先頭に立つと、後続が大外を回りながら追いかけてくる距離が短いため、逃げ切りやすい。反対に外から捲りに来る選手は急コーナーを大回りしながら加速しなければならず、スピードが乗りにくい。
400mバンクは両者の中間で、3種類の決まり手が均衡して出やすい。先行も追込も脚質どおりに動けるため、「実力の差がそのまま結果に出やすいバンク」と言われます。久留米や取手がこのタイプです。
500mバンクはコーナーが緩やかで直線が長い。先行選手が直線に入った時点でスタミナが限界に近く、後方から来た追込選手にゴール前で捕まるケースが多くなります。
予想への活用法
競輪場ガイドで「このバンクは差しが多い」という情報を見たら、出走表でB回数の少ない差し型の追込選手を重点的に探す。逆に「逃げが多いバンク」なら、H回数が多い先行型選手が狙い目です。
脚質とバンク特性を掛け合わせると、予想の精度がぐっと上がります。
まとめ|脚質の3種類と出走表での見分け方
| 脚質 | 表記 | 目印 | 向いているバンク |
|---|---|---|---|
| 先行 | 逃 | H回数が多い | 333m・みなし直線が短いバンク |
| 追込(差し) | 追 | H・B回数ともに少ない | 400m〜500m・直線が長いバンク |
| 追込(捲り) | 追 | B回数が多い | 400m〜500m・コーナーが緩いバンク |
| 両(自在) | 両 | H・B両方に記録あり | あらゆるバンクに対応 |
競輪の予想で「どこを走るか分からない」と感じるのは、脚質を把握できていないことが多い原因です。出走表の「逃」「追」「両」という表記と、H・B回数の数字を組み合わせることで、各選手がどんな展開を得意としているかがイメージできるようになります。
あとは「そのバンクで有利な脚質は何か」を競輪場ガイドで確認して掛け合わせる——これだけで予想の組み立て方が大きく変わります。最初は先行型か追込型かの2択で判断するだけでも十分です。
- 競輪予想のコツ完全ガイド:ラインの読み方から脚質評価まで、予想の全体像をおさらい
- 競輪の決まり手(差し・捲り・逃げ・マーク)を徹底解説:脚質と決まり手の関係をさらに深掘り
- 競走得点の見方と活用ガイド:脚質と競走得点を組み合わせた予想法





