競輪場で「空中バンク」という言葉を聞いたことがありますか?
いわき平競輪場は、日本全国43か所の競輪場の中で唯一、建物・構造物の上にバンク(走路)が設置されている競輪場です。地面から数メートル浮いた場所でレースが行われる、文字どおりの「空中バンク」。
そして、この特殊な構造がレース傾向に直結しています。みなし直線63.7mは400mバンクの中で全国3番目の長さ。この長い直線が追込選手を有利にし、S級(競輪の最上位クラス)戦では差しの出現率が50%を超えます。
差し型の選手を積極的に狙う——それが、いわき平競輪場の基本戦略です。
いわき平競輪場の基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | いわき平競輪場 |
| 所在地 | 福島県いわき市平字梅本21 |
| バンク周長 | 400m |
| みなし直線 | 63.7m(400mバンク中全国3番目の長さ) |
| カント傾斜 | 32°54′45″ |
| バック幅員 | 9.0m |
| バンク形式 | 空中バンク(日本唯一) |
| 主な開催グレード | GI(日本選手権競輪)・GIII(昌子連記念)・FI・FII |
日本唯一「空中バンク」とは何か

いわき平競輪場の最大の特徴が、この「空中バンク」という構造です。
一般的な競輪場では、バンク(走路)は地面レベルに設置されています。ところがいわき平では、駐車場などの構造物の上にバンクが乗っているため、走路が地面から数メートル浮いた位置にあります。
なぜ空中に?
競輪場が都市部に設置された際、限られた土地を有効活用するために考えられた設計です。下のスペースを駐車場や施設として使いながら、その上にバンクを載せる——という発想で作られました。
珍しい構造ではありますが、レースそのものに対する影響は走路の形状(周長・カント・直線長)に起因するものであり、「浮いているかどうか」がレースを変えるわけではありません。最大の特徴は、あくまでみなし直線63.7mという長さにあります。
400mバンクの中で3番目に長いみなし直線
みなし直線とは、コーナーが終わって直線に切り替わるポイントから、ゴールラインまでの仮想的な直線距離のことです。この数値が大きいほど、直線での追い抜きがしやすくなります。
いわき平の63.7mは、400mバンクの中では全国3番目の長さ。比較すると名古屋(58.8m)や小倉(56.9m)より明らかに長く、後方からの追込選手が力を発揮しやすいバンクです。
決まり手の傾向|差しが量産される理由

いわき平のS級9車戦における決まり手はおおよそ以下のような傾向があります(2020〜2025年のS級9車戦・約2,000件をもとにした概算値、JKA競技データ参照)。
| 決まり手 | 出現率 | 全国400m平均との比較 |
|---|---|---|
| 差し | 約52% | 全国平均(約38%)より大幅に高い |
| 捲り | 約28% | ほぼ全国平均並み |
| 逃げ | 約20% | 全国平均(約35%)より低い |
※ 差し+捲り+逃げで合計100%。マークは2着の決まり手のため集計対象外。
差し+捲りを合わせた「追込型」の合計が約80%。逃げ選手がゴールまで逃げ切るケースが少なく、後方から追いかけてくる選手が刺すパターンが圧倒的です。
なぜ差しが多いのか
理由はシンプルで、直線が長いからです。
競輪では最終コーナーを抜けた後の直線で順位が大きく入れ替わります。この直線が63.7mあると、先行選手は「直線に入ってからゴールまで」がとにかく長い。スタミナを使い切った状態で長い直線を残されると、後方にいた差し型選手に外から追い抜かれやすくなります。
逆に言えば、脚がある差し型選手にとっては「仕掛けるためのスペース」が十分にある。だから差しが量産されるのです。
GI「日本選手権競輪」の開催実績
いわき平競輪場は、競輪最高格式のひとつであるGIレース「日本選手権競輪(通称:ダービー)」の開催実績を持つ格式ある競輪場です。
日本選手権競輪は毎年5月頃に開催される7日間の大会で、年間の賞金ランキングで高い位置にいるトップ選手が集まります。競輪グランプリ(12月・川崎)と並ぶ、競輪カレンダーの中でも特別な位置づけのレースです。
GI開催時は普段よりオッズの変動が大きく、予想が難しくなる半面、的中した際のリターンも大きくなる傾向があります。いわき平でのGI開催時は、通常の攻略に加えて「強い差し型選手を軸に」という基本を意識するとよいでしょう。
予想のポイント
ポイント①:差し型の選手を最優先に
いわき平での最大のポイントは「差し型選手を積極的に軸にする」ことです。
WINTICKETの出走表で選手をタップすると成績データが確認できます。「決まり手」欄の「差し」の割合が高い選手が、いわき平では狙い目になります。また、バック通過順(レース中盤のポジション)で3〜5番手につけていることが多い選手が差し型の典型的なパターンです。
差し率が全国平均の約1.4倍という数字は、他の400mバンクと比べても際立っています。
ポイント②:逃げ型単独の買い方は避ける
逃げが約20%という数字は、400mバンクの全国平均(約35%)より大幅に低い水準です。先行・逃げ型の選手が単独で軸になるケースは少ない。
ただし「逃げ選手+その番手(先頭選手の直後に位置する2番手選手)」のセットなら話が変わります。先行選手が逃げ切れなくても、直後の番手選手が差してくれれば的中になるからです。先行選手の番手に差し型がいる場合は、この組み合わせのワイドが有効です。
ポイント③:捲り型は条件次第
捲りは約28%と全国平均並み。コーナーで大外から加速して前の選手を一気に抜き去る決まり手ですが、63.7mの長い直線が残っているため、捲りで前に出た後に差し型に捕まるケースもあります。
捲り型を狙うなら、「外コースを走ることが多く、コーナーでの加速が速い選手」という条件で選びましょう。
アクセス・施設情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| アクセス(電車) | JR常磐線「いわき駅」下車、開催日は無料送迎バスあり |
| 車 | 常磐自動車道「いわきJCT」より約20分 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| 入場料 | 一般100円 |
| バンク形式 | 空中バンク(屋外) |
JR常磐線「いわき駅」から無料送迎バスが運行されており、車がなくてもアクセスできます。開催日時はWINTICKETの「競輪場検索」からいわき平を選べばカレンダーで確認できます。
まとめ|いわき平競輪場の攻略ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バンク特性 | 400m・みなし直線63.7m(全国3番目)・空中バンク(日本唯一) |
| 決まり手の傾向 | 差し約52% / 捲り約28% / 逃げ約20%(追込型が圧倒的多数) |
| 予想の軸 | 差し型選手を最優先。逃げ型単独の軸は過信禁物 |
| 買い方 | 差し型選手を軸に、先行選手の番手差し型とのワイドも有効 |
| 見どころ | 日本唯一の空中バンク・GI「日本選手権競輪」の開催実績 |
「差し率52%」という数字は、全国平均の約1.4倍。これがいわき平競輪場の本質です。どれだけ強い先行選手がいても、直線63.7mを残して差し型に捕まるシーンをいわき平では頻繁に目にします。
日本唯一の空中バンクという見た目のインパクトも面白いですが、それ以上に「追込型天国」というレース傾向の面白さがいわき平最大の特徴だと思っています。差し型選手のオッズが低い日は過剰人気かもしれませんが、差し型が軽視されている日の穴狙いは、ここでは非常に有効な戦術です。
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